遺言書の種類

遺言書には、大別して、公証役場で作成する公正証書遺言と、自分で作成する自筆証書遺言があります。当事務所では、公正証書遺言については、中国大使館で認証した経験があります。しかし、おそらくは、自筆証書遺言についても中国大使館で認証できるものと思われます。

公正証書遺言は、表紙に「遺言公正証書」または「公正証書」と記され、文面の大半は印刷されており、何の手続きも経ることなく、使用することができます。公正証書遺言には、それを作成した公証役場で保管される原本と、遺言者に渡される正本および謄本があります。

公正証書遺言の正本には原本と同じ効力がり、日本の金融機関や法務局での手続きに使用できるのに対して、謄本は、いわば内容を確認するためのもので、手続きに際して金融機関や法務局に提出しても受け取ってもらえません。正本も謄本も再発行してもらえますので、中国大使館の認証には効力に不安のない正本を使用するとよいでしょう。

自筆証書遺言は、遺言者が手書きで作成したもので、それ自体が原本となります。公正証書遺言のように正本や謄本はありません。また、家庭裁判所による検認を経た後でないと、手続きに使用できません(検認を経た場合でも作成方法等に問題があり有効な遺言書にならない場合もあります)。従って、自筆証書遺言を中国大使館で認証する場合は、家庭裁判所による検認を受けてから使用するとよいでしょう。

遺言書を中国大使館で認証するには

日本で作成した遺言書は、ほどんどの場合、日本語で作成されていると思われます。しかし、中国での手続きに使用する場合は、日本語のままでは判読できません。そこで、中国語訳も作成し、公正証書遺言の場合は日本語の正本に添付し、これに宣言書(後述)を付け中国大使館の認証を受けます。

自筆証書遺言の場合は、原本が1通しかないことが多いと思われます。原本を中国に提出してしまうと、日本での相続手続に支障を来たすので、コピーをとり、これに中国語訳を添付し、宣言書に日本語原本の複写である旨を明記して(詳しくは後述)、認証を受けるとよいでしょう。

翻訳は、表紙も含めた全ページについて行います。添付された財産目録や、各ページの番号等を含め、一言一句に至るまで、漏れがないように翻訳します。

中国語訳を添付した遺言書は、認証手続上、私文書として扱われます。つまり、中国大使館で認証する前に、公証役場での認証、認証した公証役場を管轄する法務局本局での公証人押印証明、外務省での公印確認を行っておく必要があります。

遺言に添付する宣言書について

宣言書とは、それに添付された文書の説明書きのような役割を持ち、通常、遺言書と、その中国語訳とともに1ページ目に合綴されます。

宣言書には、たとえば次のような文章を記載します。①添付の遺言書が真正なものであること(または真正な遺言書の複写であること)。②添付の中国語訳が遺言書の正確名中国語訳であること。さらに、これを宣言する方の住所、生年月日、宣言書の作成日などを記載し、署名します。

当事務所に遺言書の作成をご依頼の場合、宣言書は当事務所せ作成します(お客様には、日付の記入と、ご署名をお願いいたします)。

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