委任状を作成する前に確認すること

委任状(委託書)を作成する前に、まず、中国側提出先に委任状の雛形がないかを確認します。委任状の雛形は、ほんどの場合、中国語で作成されており、委任者の署名と署名した日を記入すれば、完成するようになっています。

委任状の雛形が届いたら、すぐに署名するのではく、内容をよく読み、誤字や不当な記載がないかを確認して下さい。また、中国語で作成された委任状は、日本語に翻訳して内容を確認するか、中国語に堪能で信頼をおける方に記載内容を説明してもらって下さい。

委任状の雛形がない場合は、委任状をご自分で作成する必要があります。後々のトラブルを防ぐためにも、必ず、記載すべき事項を中国側提出先に確認しておきましょう。また、中国語で作成できない場合は日本語で作成しますが、中国語訳も作成し、日本語原本に添付しておきます。

委任状に記載すべき事項

委任状をご自分で作成する場合も、記載すべき事項を中国側提出先に確認し、得られた指示に従って委任状を作成するようにして下さい。

中国側提出先より回答が得られない場合や、要領を得ない場合は、委任に必要と推測される事項を記載します。委任状に記載されうる事項は、一般的には次の通りです。

  • 委任者(委託人)および受任者(受託人)を特定する事項
    • 氏名(※1)
    • 性別
    • 生年月日
    • 国籍
    • 旅券番号や公民身分番号
    • 住所
  • 売却や登記などの手続き委任する不動産の所在地や名称
  • 委任する手続の内容(一例です)
    • 売買契約の締結
    • 売却に伴い必要となる登記に関する手続き
    • 売却に伴い必要となる税務に関する手続き
    • その他、売却に必要、関連する手続き一切
    • 支払方法に関する買主との交渉
    • 売却代金の徴収および受領
    • 売却に伴う税金や各種手数料等一切の支払い
    • 電気、ガス、水道、ケーブルテレビ等に関する手続き
    • その他、上記各項に関連する手続き一切
  • 再委任(受任者がさらに別の人に委任すること)を許容するかしないか
  • 委任状の有効期間(通常は委任状作成日から1年または2年)
  • 委任状の作成日
  • 委任者の署名(※2)

※1 下記「日本に帰化した場合の氏名の記載方法」もご覧下さい。

※2 下記「中国籍の方の署名は必ず中国名で」もご覧下さい。

委任状の作成の際の注意点

委任状を日本語で作成するか中国語で作成するか

委任状は、意思表示の手段ですから、有効な意思表示とするためにも、ご自身が読み書きできる言語で作成します。よって、中国語に堪能であれば、中国語で作成しても問題ありません。

中国語を読み書きできない場合は、日本語で委任状の原本を作成し、これに中国語訳を添付するとよいでしょう。

委任状を日本語で作成した場合の中国語訳の要否について

委任状が中国で使用される以上、日本語で作成した場合は、必ずと言ってよいほど、中国語への翻訳を必要とします。中国語への翻訳は、中国側提出先の指定がない限り、正確な翻訳であれば、誰が行ってもかまいません(当事務所でも中国語訳を承ります)。

中国語訳は、中国で行うこともできますが、現地で翻訳サービスを探すことは大変である上、中国語訳に中国公証役場の公証が必要になる場合も考えられます。そこで、日本で中国語訳を作成し、日本語で作成した委任状原本と合綴した上で、中国大使館の認証を得るとよいでしょう。

委任状を、はじめから中国語で作成した場合は、特に指定がない限り、わざわざ日本語訳を付ける必要はありません。

日本に帰化した場合の氏名の記載方法

中国籍であったときに不動産の権利者となり、権利書の作成や登記を中国名で行った方が、その後、日本に帰化した場合は、旧中国名と、現日本名の両方がわかるように、記載します。たとえば、委任状を日本語で書く場合は「渡辺太郎(旧中国名:王浩宇)」、中国語で書く場合は「渡辺太郎(原中国名:王浩宇)」という具合です。

ポイントは「旧中国名」、「原中国名」というように、旧名が中国の氏名であることを明らかにすることです。「旧名」「原名」のように、以前の氏名であることしかわからない書き方をすると、中国大使館で認証されませんのでご注意下さい

中国籍の方の署名は必ず中国名で

中国籍の方は、必ず、中国名で署名して下さい。日本での通称名をお持ちの場合でも、日本での通称名で署名したり、中国名と日本での通称名を併記したりすると、中国大使館で認証されません。

押印しない場合が多いです

日本では、押印のない委任状は通用しない場合が多いのですが、中国では、日本と異なり、印鑑を使用する慣習がないので、署名のみで通用する場合がほとんどです。中国側提出先から特に押印するようにとの指定がない場合は、署名のみでもよいでしょう。

居民身分証は添付しない方が無難です

委任状に居民身分証の写しを添付して作成する例をみかけます。しかし、当事務所の経験では、委任状に居民身分証の写しを添付すると、中国大使館で認証を申請する際に、居民身分証の原本の提示を求められたり、認証されないことがあります。

近頃は、居民身分証を添付しても認証されるようになりつつあるようですが、確実に認証を受けるには、居民身分証の写しを添付しない方が無難です。

委任状には中国大使館の認証が必要です

委任状は中国大使館で認証する必要があります

委任状は作成しただけでは、中国で通用しません。委任状を中国で通用させるには、中国大使館の認証を付ける必要があります。

委任状は私文書ですので、いきなり中国大使館に持参しても認証できません。認証するには、まず公証役場で認証し、認証した公証役場を管轄する法務局の本局で公証人押印証明を行い、さらに外務省にて公印確認を行ってからでないと、中国大使館で認証することができません。

委任状の中国大使館認証は、当事務所でも代行しております。公証役場での認証から中国大使館での認証まですべての手続きを代行しておりますので、必要に応じてお申し付け下さい。

中国大使館認証は行政書士みどり法務事務所
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