踏切の一時停止取り締まり
踏切で一時停止するのは、当たり前にできることだと思うかもしれない。
踏切は大がかりな設備だから、交差点の一時停止の標識のように見逃すこともない。
出口スペースの確認も必要なので、電車が来ないからといって安易に進入することもない。
しかし、踏切が一時停止違反取り締りポイントになっている例は意外に多いのである。
列車がよく来る踏切
ここは、よく一時停止取り締まりが行われる踏切らしい。
この踏切は長く(線路を5本も横断する)、しかも列車が頻繁に来る。
ここを通るには誰もが慎重になるだろうし、違反しやすい理由が思い浮かばない。
なかなか開かない踏切だけに、急いで入ろうとして一時停止を忘れるのだろうか。
それとも、より簡単に踏切を渡れるバイクの違反が多いのだろうか。
列車が滅多に来ない踏切
これはさきほどの列車がよく来る踏切の撮影地点から左手を見たものである。
この写真の中にも一時停止取り締まりポイントが写っている。
その取り締まりポイントに近づいてみる。
写真左側に注意すると、
「踏切あり」の警戒標識。つまり、ここにも踏切がある。
この踏切でも一時停止取り締まりがよく行われるという。
そのせいか、通過するクルマはどれも踏切を見落とすこともなく一時停止していた。
だが、初めてここを通る場合は踏切に気付かないかもしれない。
しかも、この踏切、滅多に列車が通らない。
なにしろ、線路を遮るようにロープが張ってあるのだから。
実は、この線路、鉄道車両工場(写真右奥)への引き込み線である。
新製車両の搬出にしか使われない線路で、
一日に1本も列車が通らないのが普通である。
たまに列車が通るとしても、たいていは深夜である。
それでも、一時停止取り締まりがよく行われるという。
初めて通る道で、このような隠れた踏切を見つけるの難しい。
カーナビの踏切警告は、このような場合に便利だと思う。
しかし、このような滅多に列車が来ない踏切では、
行政側で踏切信号機を設置し、一時停止を不要にする方が合理的ではないだろうか。
列車があまり来ない踏切
神奈川臨海鉄道本牧線本牧埠頭第1踏切。
列車が一日に2往復しか来ない、つまり4回しか来ない踏切である。
これまた遮断機もなく(歩道にはある)、警報機もなく、
一見して踏切があるとはわかりにくい。
列車があまり来ないことと、遮断機も警報機もないことは、
前出の列車が滅多に来ない踏切と同じだが、
この踏切で一時停止取り締まりが行われたことは、おそらくない。
なぜなら、一時停止しなくてよい踏切だからだ。
この写真を見れば、一時停止しなくてよい理由がわかる。
この踏切には信号機があるのだ。
踏切に信号機がある場合は、信号機に従って通過することができる。
というわけで、この踏切では一時停止する義務はない。
この踏切のように、あまり列車の来ない踏切には、
信号機を付けて、ドライバーを一時停止義務から解放するのは、合理的だと思う。
列車が来ないという点では、前出の列車が滅多に来ない踏切の方が上である。
それならば、前出の列車が滅多に来ない踏切にも、この踏切のように信号機を付け、
月に数回、それも深夜にしか通らない列車のために、
いついかなるときでも一時停止する義務をなくした方がよいのではないか。
列車が来ない踏切
神奈川臨海鉄道構外側線錦町第2踏切
この踏切は列車が来ない。廃線だからだ。
この踏切の近くに残る看板を見ると、廃線前は一日3往復の運転があったようだ。
この踏切にも信号は付いていた。
一日6本しか列車が来ない踏切でも信号があったのだ。
前出のこの踏切など、一日に1本も列車が来ない日の方が多い。
ここにも信号機を設置してはどうだろう。
道路と平行な踏切
この踏切も、一時停止取り締りがよく行われるという。
それだけ一時停止を忘れやすいのだろうが、なぜだろう。
まず、道路が線路に並行しているところが、普通の踏切と違う。
踏切というと、普通はこのように線路に直交するものをイメージする。
目の前を横切る踏切を見れば、一時停止も自然にできるだろう。
ところがこの踏切は、そこを渡るのに右折しなければならない。
このような場合、踏切を渡るという感覚よりも、
交差点を右折するという感覚に近いのではないか。
交差点で右折する感覚で、この場所を右折しようとすると、
対向車が来ないとわかれば、いまだとばかり、一時停止も忘れて右折してしまうのではいか。
しかし、まず、ここで一時停止しなければならない。
しかもこの場所、直進するにしても、一時停止する必要がある。
多くの踏切では、線路と直交する姿勢で一時停止することが多い。
しかし、この踏切は、線路と平行する姿勢で一時停止しなければならない。
この馴れない姿勢での一時停止が、違反者を量産しているのかもしれない。